膝関節について
膝関節は、大腿骨と脛骨、そして膝蓋骨から成っています。脛骨の関節部分はほぼ平らな形をしており、その上を大腿骨の丸い先端が転がるようにして動きます。平らな板と丸いものの組み合わせで、それが転がるという仕組みのため、とても不安定です。
そのため、大腿骨と脛骨をつなぐ、主だった四つの靱帯と半月板が、膝関節を安定させるために重要な役割を果たしています。関節の内面は滑らかな軟骨で覆われ、その間には半月板と呼ばれる組織があります。そして、関節部分は関節包で包まれており、その内側の滑膜から関節液が分泌され、潤滑機能を維持しています。これら軟骨、半月板、そして関節液が働くことによって、膝関節は滑らかに動きます。曲がる角度は、正座をする時で150度前後、しゃがんだ時で約120度、そして歩行時では60度前後です。
人工関節置換術(TKA)について
人工膝関節置換術は、技術も飛躍的な進歩を遂げ、国内においては年間8万件以上の手術が行われており、今や一般的な治療法となっています。人工膝関節置換術の一番の目的は、「関節の痛みの除去」ですが、ほとんど歩けなかった方が歩けるようになったり、外出困難だった方が旅行できるようになったり、生活の質(QOL)の大きな改善が望めます。
人工膝関節置換術から15年経った後も96%以上の人工膝関節がよく機能しており、医療用、生体適合性の高い「チタン」、「超高分子量ポリエチレン」などの素材の開発などにより、幅広い年齢層に対応できるようになっています。
※人工関節の耐用年数は個人の体重、年齢、活動レベルやその他の要因によって異なります
加齢とともに軟骨の損傷、変形が進み、さらに体重の負荷などの要因も加わって変形した膝関節を、人工膝関節によって本来の状態に戻すことを目的とした手術療法です。